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相続手続きがめんどくさい7つの理由と放置リスク|2026年最新制度で負担を減らす方法

相続手続き

相続手続きがめんどくさい7つの理由と放置リスク|2026年最新制度で負担を減らす方法

この記事でわかること

  • 相続手続きがめんどくさい7つの理由と、それぞれの対処法
  • 放置で起こる8つのリスク(相続放棄3か月・相続税10か月・相続登記3年)
  • 戸籍の広域交付・所有不動産記録証明制度など手間を減らす制度
  • 遺言書の確認から始める自分で進める段取りとチェックリスト
  • 話がまとまらないときの対処法と、専門家に任せる範囲と費用

親が亡くなってから、戸籍を集めても終わらない、銀行ごとに書類が違う、と感じている方は少なくありません。
相続手続きは、役所・金融機関・法務局・税務署と窓口が分かれ、期限もばらばらです。

「めんどくさい」と感じるのは自然なことですが、相続放棄は3か月、相続税の申告は10か月、相続登記は3年という期限があり、放置すると選べる道が減っていきます。
一方で、2024年以降は戸籍の広域交付や所有不動産記録証明制度など、手間を減らす制度も増えました。

この記事では、めんどくさく感じる7つの理由と放置したときのリスク、負担を減らす制度と進め方を、大阪・天王寺で相続を専門に扱う司法書士が解説します。

結論|めんどくさいのは当然。ただし「期限」と「義務」があるので放置はできない

結論|めんどくさいのは当然。ただし「期限」と「義務」があるので放置はできない

相続手続きは、戸籍の収集、財産の調査、遺産分割協議、名義変更、税金の申告と作業が続き、慣れていない人ほど時間がかかります。
ただし、次の3点だけは先に押さえてください。

  • 期限のある手続き:相続放棄・限定承認は3か月、準確定申告は4か月、相続税の申告は10か月以内(いずれも相続の開始を知った時・日が基準)
  • 義務になった手続き:2024年4月1日から相続登記が義務化され、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象
  • 手間を減らす方法:制度を使う、順番を守る、難しい部分だけ専門家に任せる

すべてを一度に片付ける必要はありません。
期限のあるものから順に着手すれば、めんどくささは段階的に減らせます。

相続手続きがめんどくさいと感じる7つの理由

相続手続きがめんどくさいと感じる7つの理由

相続手続きを負担に感じる主な理由と、負担を減らすヒントを一覧にしました。

理由めんどくさい中身負担を減らすヒント
1. 戸籍集めが複雑出生から死亡まで、複数の役所に請求する戸籍の広域交付、法定相続情報一覧図
2. 財産の全体像がつかめないネット銀行や遠方の土地を見落とす所有不動産記録証明制度、名寄帳
3. 窓口が平日の日中しか開いていない仕事を休まないと動けない郵送請求、オンライン申請
4. 金融機関ごとに書式が違う口座の数だけ書類をそろえる法定相続情報一覧図を使い回す
5. 書類作成に専門知識が要る不備があると差し戻される難しい部分だけ専門家に依頼
6. 相続人同士の調整が重い疎遠・不仲・遠方で合意が進まない郵送での署名、遺産分割調停
7. 何から始めればいいか分からない期限を見落とす期限のあるものから着手

1. 戸籍集めが複雑(出生から死亡まで・複数の自治体)

相続人を確定するには、亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍をすべて集める必要があります。
結婚や転籍で本籍地を移していると、請求先が複数の市区町村に分かれます。
2024年3月1日からは、最寄りの市区町村窓口で全国の戸籍をまとめて請求できる広域交付が始まっています(後述)。

2. 財産の全体像がつかめない(ネット銀行・遠方の不動産)

通帳のないネット銀行や証券口座、電子マネーは、存在に気づかないまま手続きが進むことがあります。
地方の山林や農地など、固定資産税の納税通知書を見ないと分からない不動産もあります。
借金や保証債務などのマイナスの財産も調べる必要があり、これが3か月以内に相続放棄するかを判断する材料になります。

3. 役所・法務局・金融機関が平日の日中しか開いていない

市区町村役場や法務局の窓口は平日の日中が中心で、金融機関の相続窓口は予約制のところもあります。
働きながら手続きを進める方は、有給休暇を何度も使うことになりがちです。
戸籍は郵送で請求でき、相続登記はオンラインでも申請できますが、書類を準備する手間は残ります。

4. 金融機関ごとに書式も必要書類も違う

銀行や証券会社にはそれぞれ所定の相続届があり、求められる書類や印鑑証明書の有効期限の扱いも異なります。
株式や投資信託は、同じ証券会社に相続人名義の口座を開いて移管する手続きが加わります。
事前に各金融機関へ必要書類を確認し、法定相続情報一覧図を使えば、戸籍の束を何度も提出する手間が省けます。

5. 書類作成に専門知識が要る

遺産分割協議書は、財産の特定があいまいだと、登記や預貯金の手続きで受け付けてもらえないことがあります。
相続登記の申請書にも、登録免許税の計算や添付書類の組み合わせなど、慣れないと分かりにくい決まりがあります。
全部を任せなくても、協議書の作成や登記だけを専門家に頼む方法があります。

6. 相続人同士の連絡・調整が重い(疎遠・不仲・遠方)

遺言書がない場合、預貯金の解約や不動産の名義変更には、原則として相続人全員による遺産分割協議が必要です。
一人でも連絡が取れない、同意しない相続人がいると、手続き全体が止まります。

  • 疎遠な相続人がいる:戸籍の附票で住所を調べ、手紙で連絡を取るところから始まる
  • 関係がよくない:話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所の遺産分割調停を利用できる
  • 遠方に住んでいる:協議書を郵送し、それぞれが署名・押印して返送する方法で進められる

7. 全体像が見えず、何から手を付けるべきか分からない

相続手続きは法律・税金・金融機関と分野がまたがり、初めての方には順番の判断そのものが難しい作業です。
まずは期限の目安を一覧で把握しておくと、今やるべきことが見えてきます。

期限の目安主な手続き
7日以内死亡届の提出(死亡の事実を知った日から)
14日以内国民健康保険・後期高齢者医療の資格喪失の届出など
3か月以内相続放棄・限定承認(自己のために相続の開始があったことを知った時から)
4か月以内準確定申告(相続の開始があったことを知った日の翌日から)
10か月以内相続税の申告・納税(相続の開始があったことを知った日の翌日から)
3年以内相続登記(不動産を相続で取得したことを知った日から)

遺産分割協議そのものに法律上の期限はありません。
ただし相続税の特例の多くは原則として申告期限までに分割が済んでいることが条件になるため、10か月以内を目安に進めるのが一般的です。

相続手続きを放置するとどうなる?相続放棄・遺留分・相続税など8つのリスク

相続手続きを放置するとどうなる?相続放棄・遺留分・相続税など8つのリスク

放置によるリスクを、期限の基準とあわせて一覧にしました。

リスク期限・基準起こること
1. 相続放棄・限定承認ができなくなる知った時から3か月借金も含めて相続する
2. 遺留分侵害額請求ができなくなる知った時から1年/相続開始から10年最低限の取り分を請求できない
3. 相続回復請求ができなくなる知った時から5年/相続開始から20年侵害された相続権を回復できない
4. 預貯金・株式を使えない状態が続く期限なし解約や売却ができない
5. 相続税の加算税・延滞税がかかる知った日の翌日から10か月本来の税額に上乗せされる
6. 相続登記の過料の対象になる取得を知った日から3年10万円以下の過料
7. 特別受益・寄与分を主張できなくなる相続開始から10年生前贈与や介護の貢献が考慮されない
8. 相続人が増える(数次相続)期限なし話し合う相手と書類が増える

1. 相続放棄・限定承認ができなくなる(原則3か月)

相続放棄と限定承認は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。
この期間を過ぎると、原則として単純承認したものとみなされ、借金も含めて相続することになります。

  • 単純承認:プラスの財産も借金もすべて引き継ぐ
  • 相続放棄:最初から相続人でなかったことになり、財産も借金も引き継がない
  • 限定承認:プラスの財産の範囲内で借金を引き継ぐ(相続人全員で申述する)

財産の調査が間に合わない場合は、3か月以内に家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられます(裁判所:相続の承認又は放棄の期間の伸長)。

2. 遺留分侵害額請求ができなくなる(1年/10年)

遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に法律で保障された最低限の取り分です。
遺言や生前贈与によって遺留分を下回る財産しか受け取れなかった場合、多く受け取った人に不足分をお金で請求できます。
この請求権は、相続の開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年で、時効により消滅します。
知らなかった場合でも、相続開始から10年を過ぎると行使できなくなります(民法1048条)。
相手との交渉や調停の代理人になれるのは弁護士です。

3. 相続回復請求ができなくなる(5年/20年)

相続回復請求権とは、相続権のない人が相続人のように振る舞って遺産を占有している場合などに、本来の相続人が遺産を取り戻すための権利です。
相続権を侵害された事実を知った時から5年、相続開始から20年を過ぎると行使できなくなります(民法884条)。

4. 預貯金・株式を使えない状態が続く

金融機関は口座名義人の死亡を知ると口座を凍結し、相続手続きが終わるまで入出金ができなくなります。
遺産分割がまとまらないまま放置すると、預貯金を生活費に充てたり、株式を売却したりできない状態が続きます。
10年以上取引のない預金は休眠預金として預金保険機構へ移されますが、その後も金融機関で払い戻しを請求できます。
葬儀費用などで急ぎ現金が必要な場合は、後述する預貯金の払戻し制度を使えます。

5. 相続税の申告が遅れると加算税・延滞税がかかる

遺産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納税が必要です(国税庁:No.4205 相続税の申告と納税)。
期限を過ぎると、次の税金が上乗せされます。

種類かかる場面割合の目安
無申告加算税期限までに申告しなかった納付税額の15%(50万円超300万円以下の部分は20%、300万円超の部分は30%)。税務調査の通知前に自主的に申告すれば原則5%
延滞税期限までに納付しなかった2026年の期間は年2.8%(納期限の翌日から2か月以内)、年9.1%(2か月超)
重加算税財産を隠すなど仮装・隠蔽があった無申告の場合40%、過少申告の場合35%

加算税の割合は、2024年1月1日以後に申告期限が来るものに適用される割合です(財務省:加算税制度の概要)。
延滞税の割合は毎年見直されます(国税庁:No.9205 延滞税について)。
相続税がかかるか判断がつかない場合も、期限の前に税理士へ確認しておくと安心です。

6. 相続登記をしないと10万円以下の過料の対象になる(2024年4月〜)

2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請しなければならなくなりました。
正当な理由なく申請しない場合は、10万円以下の過料の対象になります。
2024年4月1日より前に発生した相続で登記していない不動産も対象で、原則として2027年3月31日までに申請が必要です(法務省:相続登記の申請義務化について)。

名義が亡くなった方のままだと、売却や担保設定もできません。
登記を放置した場合に起こる問題は、相続登記を放置したひとの末路でも解説しています。

7. 特別受益・寄与分を主張できなくなる(10年ルール)

2023年4月1日に施行された改正民法(904条の3)により、相続開始から10年を過ぎた遺産分割では、原則として特別受益と寄与分が考慮されなくなりました。
特別受益は生前に多額の贈与を受けた相続人がいる場合の調整、寄与分は介護や家業の手伝いで財産の維持に特別に貢献した相続人への上乗せです。
10年を過ぎると、原則として法定相続分(遺言による指定があれば指定相続分)を基準に分けることになります。

2023年4月1日より前に始まった相続にも適用されますが、経過措置により、施行日から5年(2028年3月まで)は主張できる期間が確保されています。
なお、相続人全員が合意すれば、10年経過後もこれと異なる割合で遺産を分けることはできます。

8. 放置するほど相続人が増える(数次相続)

遺産分割をしないうちに相続人の一人が亡くなると、その人の相続人(配偶者や子)が話し合いに加わります。
これを数次相続といい、放置する期間が長いほど、面識のない親族まで相続人になります。
たとえば父の相続を放置している間に兄が亡くなると、兄の配偶者と子が相続人に加わり、当初2人だった話し合いの相手が4人、5人と増えることがあります。

当事務所でも、固定資産税の通知をきっかけに、疎遠だった叔母の相続人になっていると分かったご相談がありました。
国内外に20名以上いる相続人と手紙で連絡を取り、相続登記を完了しています(相続人20人超・一部ブラジル移民の相続登記)。

【2026年最新】相続手続きの負担を制度で減らす方法

【2026年最新】相続手続きの負担を制度で減らす方法

2024年前後から、相続手続きの手間を減らす制度が相次いで始まっています。

制度開始減らせる手間注意点
戸籍の広域交付2024年3月1日複数の役所への戸籍請求本人・配偶者・直系の親族が窓口で請求する場合のみ
法定相続情報一覧図2017年5月29日金融機関ごとの戸籍の束の提出戸籍一式は一度集める必要がある
所有不動産記録証明制度2026年2月2日全国の不動産の洗い出し登記の住所・氏名が古いと漏れることがある
相続人申告登記2024年4月1日3年以内に分割がまとまらない場合の登記義務名義変更の代わりにはならない
預貯金の払戻し制度2019年7月1日遺産分割前の葬儀費用などの確保1金融機関150万円が上限
相続土地国庫帰属制度2023年4月27日使わない土地の管理審査手数料と負担金がかかる

戸籍の広域交付(2024年3月〜)|最寄りの役所でまとめて請求できる

本籍地が全国に散らばっていても、最寄りの市区町村窓口で戸籍・除籍・改製原戸籍をまとめて請求できる制度です(法務省:戸籍法の一部を改正する法律について)。
請求できるのは本人・配偶者・父母や祖父母・子や孫の分で、兄弟姉妹の戸籍は請求できません。
請求する本人が窓口に出向く必要があり、郵送や代理人による請求には使えないほか、一部の戸籍は対象外になることがあります。

法定相続情報一覧図|戸籍の束の代わりに使える(交付は無料)

集めた戸籍をもとに相続関係を1枚にまとめた一覧図を法務局に提出すると、登記官の認証文付きの写しを無料で交付してもらえます(法務局:法定相続情報証明制度について)。
銀行や証券会社の手続き、相続登記、相続税の申告などで、戸籍一式の代わりに使えます。

所有不動産記録証明制度(2026年2月〜)|全国の不動産を一覧で確認できる

亡くなった方が登記名義人になっている不動産を、全国から検索して一覧にした証明書を請求できる制度です(法務省:所有不動産記録証明制度について)。
相続人は全国どこの法務局でも請求でき、郵送やオンラインでも請求できます。
手数料は、書面で請求する場合、検索条件1件・1通につき1,600円です。

ただし、登記簿上の住所や氏名が最新でない場合や、登記されていない建物は一覧に出ないことがあります。
過去の住所でも検索し、市区町村の名寄帳と組み合わせると見落としを減らせます。

相続人申告登記|3年以内に遺産分割がまとまらないときの対処

遺産分割がまとまらず3年以内に相続登記を申請できない場合は、法務局に「自分が相続人である」と申し出る相続人申告登記で、申請義務を果たせます。
相続人が単独で申し出ることができ、登録免許税もかかりません(法務省:相続登記の申請義務化に関するQ&A)。

ただし、これは不動産の名義を相続人に移す登記ではありません。
その後に遺産分割が成立した場合は、成立した日から3年以内に、分割の内容に沿った相続登記を申請する必要があります。

預貯金の払戻し制度|1金融機関150万円まで単独で払い戻せる

遺産分割の前でも、各相続人が単独で、亡くなった方の預貯金の一部を払い戻せる制度です(民法909条の2)。
払い戻せる金額は「相続開始時の預金残高×1/3×その相続人の法定相続分」で、1つの金融機関につき150万円が上限です。
たとえば残高900万円、相続人が子2人なら、1人あたり900万円×1/3×1/2=150万円まで払い戻せます。
必要書類は金融機関によって異なるため、事前に窓口へ確認してください。
相続放棄を考えている場合は、払い戻しを受ける前に専門家へ相談してください(後述)。

相続土地国庫帰属制度|使わない土地を国に引き取ってもらう

相続で取得した土地を、一定の要件を満たせば国に引き取ってもらえる制度です(法務省:相続土地国庫帰属制度の概要)。
申請時に土地1筆あたり14,000円の審査手数料、承認されると10年分の管理費用に相当する負担金(原則20万円)がかかります。
建物がある土地や境界が明らかでない土地などは対象になりません。

自分で進める場合の段取り(遺言書の確認から)

自分で進める場合の段取り(遺言書の確認から)

順番を間違えると、協議や書類のやり直しが発生し、めんどくささが倍になります
次の4つのステップで進めましょう。

STEP1 遺言書の有無を確認する

遺言書があるかどうかで、遺産分割協議が必要か、誰が何を相続するかが変わります。

遺言書の種類探し方家庭裁判所の検認
自宅などで見つかった自筆証書遺言自宅や貸金庫などを探す必要(封がされていれば開けない)
法務局に預けた自筆証書遺言全国の遺言書保管所で「遺言書保管事実証明書」を請求不要
公正証書遺言全国の公証役場で検索を申し出る(平成元年以降の作成分)不要

法務局の保管制度は2020年7月10日に始まりました(法務省:自筆証書遺言書保管制度)。
公正証書遺言の検索は無料です(日本公証人連合会:公正証書遺言の検索)。

STEP2 相続人を確定する

集めた戸籍をもとに、法律上の相続人を確定させます。

順位相続人備考
常に相続人配偶者婚姻届を出した配偶者に限る
第1順位子(亡くなっている場合は孫)養子、認知した子も含む
第2順位父母(亡くなっている場合は祖父母)子や孫がいない場合
第3順位兄弟姉妹(亡くなっている場合はおい・めい)子や孫、父母や祖父母がいない場合

前の配偶者との子など、家族が知らなかった相続人が戸籍で見つかることもあります。

STEP3 財産目録をつくる

預貯金・不動産・株式・保険などのプラスの財産と、借入金・未払いの税金・保証債務などのマイナスの財産を一覧にします。
通帳、郵便物、固定資産税の納税通知書、確定申告書の控えが手がかりになります。
借金の有無は、信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)に相続人が開示を請求して確認できます。

STEP4 期限のあるものから着手する

財産目録ができたら、借金が多ければ相続放棄(3か月)を、遺産が基礎控除額を超えそうなら相続税の申告(10か月)の準備を、期限から逆算して進めます。
相続登記の期限は3年ですが、協議書ができたら早めに申請しておくと、数次相続のリスクを避けられます。

そのまま使える着手チェックリスト

□ 死亡届を提出した
□ 遺言書の有無を確認した(自宅・法務局・公証役場)
□ 被相続人の出生から死亡までの戸籍をそろえた
□ 相続人全員の連絡先が分かっている
□ 借金を含めた財産目録をつくった
□ 相続放棄をするか決めた(3か月以内)
□ 相続税がかかるか確認した(10か月以内)
□ 遺産分割協議書を作成し、全員が署名・押印した
□ 預貯金の解約と不動産の相続登記を済ませた

相続人と連絡が取れない・話がまとまらないときの対処法(調停・弁護士)

相続人と連絡が取れない・話がまとまらないときの対処法(調停・弁護士)

状況ごとの主な対処法は次のとおりです。

状況主な対処法
住所が分からない戸籍の附票で住所を調べ、手紙を送る
調べても所在が分からない家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる
7年以上生死が分からない家庭裁判所に失踪宣告を申し立てる
認知症などで判断能力が十分でない家庭裁判所に成年後見人などの選任を申し立てる
話し合いがまとまらない家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる

疎遠な相続人へ送る手紙の書き方(例文付き)

疎遠な相続人にいきなり書類を送ると、警戒されて返事がもらえないことがあります。
最初の手紙では、誰がなぜ連絡したのか、相手に何をお願いしたいのかを簡潔に伝えます。

  • 自分と亡くなった方との関係を最初に書く
  • 亡くなった日と、相続人として連絡した理由を書く
  • 財産の概要を隠さず伝える
  • 返事の期限は目安として示し、急がせる表現は避ける
  • 電話やメールなど連絡先を複数書く
【例文】疎遠な相続人への最初の手紙
○○○○様
 
突然のお手紙で失礼いたします。
私は、□□□□(亡くなった方の氏名)の長男の△△△△と申します。
 
父□□□□は、令和○年○月○日に亡くなりました。
戸籍を確認したところ、○○様も父の相続人であることが分かり、ご連絡を差し上げました。
 
父の遺産は、大阪市内の自宅(土地・建物)と預貯金です。
遺産の内容をまとめた一覧を同封いたしますので、ご確認いただけますと幸いです。
 
今後の分け方について、○○様のお考えをお聞かせいただけないでしょうか。
ご不明な点がございましたら、下記までお気軽にお問い合わせください。
恐れ入りますが、○月○日頃までにご連絡をいただけますと助かります。
 
令和○年○月○日
住所:
氏名:△△△△
電話:
メール:

当事務所の解決事例にも、話し合いがまとまらない兄弟に事務所が作成した手紙を送り、相続登記まで進めたケースがあります(連絡を取りづらい兄弟に相続の手紙を送った事例)。

行方不明の相続人がいる場合(不在者財産管理人・失踪宣告・所在等不明共有者の持分取得)

戸籍の附票などで調べても所在が分からない相続人がいる場合、主な方法は次の3つです。

相続開始からの年数と、分けたい財産が不動産だけか・預貯金なども含むかによって、使える方法が変わります。

不在者財産管理人を選任する

行方不明の相続人の従来の住所地を管轄する家庭裁判所に、不在者財産管理人の選任を申し立てます。

選ばれた管理人は、家庭裁判所の許可を得たうえで、行方不明の相続人に代わって遺産分割協議に参加します。

失踪宣告を申し立てる

生死が7年以上分からない場合は、失踪宣告を申し立てる方法もあります。

失踪宣告を受けると、その人は法律上亡くなったものとみなされます。

その前提で相続人を確定し直して、遺産分割を進めます。

相続開始から10年を経過している場合は「所在等不明共有者の持分取得」(民法第262条の2)

相続した不動産については、2023年4月1日に施行された「所在等不明共有者の持分取得」という制度も使えます。

所有者不明土地の発生を防ぐための民法改正で新設された制度です。

不動産を共有している相続人が裁判所に申し立て、行方不明の相続人の持分を取得する仕組みです。

相続人の所在が分からない場合のほか、相続人が誰なのか分からない場合も対象になります。

ただし、相続によって共有になった不動産では、相続開始から10年を経過するまで申し立てはできません(民法第262条の2第3項)。

相続人が遺産分割をする機会を守るための制限です。

また、他の相続人が遺産分割を請求し、この裁判に異議を届け出た場合も利用できません。

申立先は家庭裁判所ではなく、不動産の所在地を管轄する地方裁判所です。

住民票や戸籍の附票などを調べ尽くしても所在が分からないことを、裁判所に示す必要があります。

裁判所は3か月以上の公告を行ったうえで判断します。

申立人は、裁判所が定める金額(取得する持分の時価に相当する額が目安)を法務局に供託しなければなりません。

行方不明の相続人は、後から持分の時価相当額の支払いを請求できます(法務省:令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント)。

この制度で取得できるのは不動産の持分だけです。

預貯金など他の遺産は対象外のため、不在者財産管理人の選任など別の手続きが必要になります。

不動産の売却が目的の場合は、行方不明の相続人の持分も含めて不動産全体を第三者に売る権限を得る制度(民法第262条の3)もあります。

なお、10年を待つ間も相続登記の義務(取得を知った日から3年以内)はなくなりません。

遺産分割がまとまらない場合は、相続人申告登記で申請義務を果たすことができます。

方法 使える条件 申立先 対象になる財産
不在者財産管理人 相続人の所在が分からない 家庭裁判所 遺産全体(管理人が遺産分割協議に参加)
失踪宣告 生死が7年以上分からない 家庭裁判所 遺産全体(相続人を確定し直して分割)
所在等不明共有者の持分取得 所在等が分からない+相続開始から10年経過 不動産の所在地の地方裁判所 不動産の持分のみ(時価相当額の供託が必要)

当事務所の特殊な相続人(裁判手続き)のサポートでは、こうした裁判所へ提出する申立書の作成を行っています。

話し合いがまとまらない場合(遺産分割調停)

相続人同士の話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てられます(裁判所:遺産分割調停)。
調停では、裁判官と調停委員が双方の意向を聞き、解決案を示しながら合意を目指します。
調停が成立しない場合は審判の手続きに移り、裁判官が分け方を決めます。

弁護士に相談を切り替える目安

  • 相続人同士が対立し、直接の話し合いができない
  • 相手がすでに弁護士に依頼している
  • 遺言書の有効性や、遺産の使い込みを争いたい
  • 遺留分侵害額請求をしたい、または請求された

相手方との交渉や、調停・審判・訴訟の代理人になれるのは弁護士です(弁護士法72条)。
司法書士は相続登記や裁判所に提出する書類の作成、行政書士は遺産分割協議書などの書類作成を担い、交渉の代理はできません。
当事務所では、相続人の間で争いが生じた場合は提携弁護士と連携して対応しています。

「めんどくさいから相続放棄したい」は正解か

「めんどくさいから相続放棄したい」は正解か

手続きの多さに疲れて、相続放棄を考える方もいます。
ただし相続放棄は、借金だけでなく預貯金や不動産もすべて手放す手続きで、原則として撤回できません

状況相続放棄の考え方
借金がプラスの財産より明らかに多い有力な選択肢
プラスの財産のほうが多い放棄すると受け取れる財産を失う
手続きがめんどくさいだけ手続きを専門家に任せる方法を先に検討
使わない不動産の管理が負担売却や相続土地国庫帰属制度も検討

相続放棄の期限と、放棄すると失うもの

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所へ申述します(裁判所:相続の放棄の申述)。
受理されると最初から相続人でなかったものとみなされ、後から財産を受け取りたくなっても原則として撤回できません。

死亡保険金は受取人固有の財産なので放棄しても受け取れますが、相続税の計算で死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)は使えなくなります。
自分が放棄すると、次の順位の親族(父母や兄弟姉妹など)が相続人になるため、事前に伝えておくと行き違いを防げます。
また、放棄の時に現に占有している遺産は、次の相続人などに引き渡すまで保存する義務が残ります。

放棄を考えている間にやってはいけないこと

亡くなった方の財産を処分すると、単純承認したものとみなされ、相続放棄ができなくなるおそれがあります(民法921条)。

  • 亡くなった方の預金を引き出して自分のために使う
  • 不動産や車、貴金属を売却・譲渡する
  • 亡くなった方の借金を遺産から返済する
  • 遺産分割協議に参加して財産を取得する

判断に迷う行為がある場合は、実行する前に専門家へ確認してください。

専門家に任せるとどこまで楽になるか(対応範囲と費用の目安)

専門家に任せるとどこまで楽になるか(対応範囲と費用の目安)

すべてを自分で行う必要はありません。
戸籍の収集だけ、登記だけなど、めんどくさい部分だけを専門家に任せる方法もあります。

司法書士・弁護士・税理士・行政書士の対応範囲

専門家任せられる主な手続き任せられないこと
司法書士戸籍収集、相続登記、遺産分割協議書の作成、相続放棄の申述書の作成、預貯金の解約(遺産承継業務)相続人間の交渉や調停の代理、税務申告
行政書士戸籍収集、遺産分割協議書・財産目録の作成、自動車の名義変更登記申請、裁判所に出す書類の作成、税務申告
税理士準確定申告、相続税申告、財産の評価登記申請、交渉の代理
弁護士相続人間の交渉、遺産分割調停・審判・訴訟の代理、遺留分侵害額請求登記や税務申告は司法書士・税理士と連携するのが一般的

各専門家の選び方は、相続手続きを司法書士に依頼するメリットとは?専門家を選ぶポイントについてで紹介しています。

費用の目安

依頼内容報酬の目安
相続登記(司法書士)5万円〜20万円程度(別途、登録免許税などの実費)
遺産分割協議書の作成(行政書士)3万円〜5万円程度
相続放棄の書類作成3万円〜10万円程度
相続税申告(税理士)遺産総額の0.5%〜1.0%程度
手続きの丸ごと代行(司法書士事務所など)10万円〜50万円程度

報酬は事務所ごとに自由に定められており、相続人や財産の数によって変わります。
実費や専門家別の詳しい相場は、相続手続きの費用相場とは?専門家別の掛かる費用についてをご覧ください。

当事務所に丸ごと任せた場合

当事務所の相続手続き代行は、相続税申告を含めて230,000円(税込253,000円)〜です。
戸籍収集から財産調査、遺産分割協議書、預貯金・株式・不動産・車の手続きまでを含み、相続人の人数や不動産・銀行の件数による料金の加算はありません。
相続人の方にお願いするのは、打ち合わせと書類への署名・押印、印鑑証明書の用意が中心です。
相続する銀行が多く手続きの手間に悩んでいた方が、代行でまとめて手続きを進めた事例もあります(銀行数による加算がないプランで満足しました)。

まとめ|「めんどくさい」を放置のコストに変えないために

相続手続きがめんどくさいのは、戸籍集め・財産調査・窓口対応・書類作成・相続人の調整が重なるためで、そう感じるのは自然なことです。
ただし相続放棄は3か月、相続税の申告は10か月、相続登記は3年という期限があり、放置すると選べる道が減り、費用も増えます。
戸籍の広域交付、法定相続情報一覧図、所有不動産記録証明制度などを使えば、集める手間は減らせます。
期限のあるものから着手し、難しい部分だけ専門家に任せるのが、負担を抑える現実的な進め方です。

大切な方を亡くした直後に、期限のある手続きを仕事や家事と並行して進めるのは大きな負担になります。
ミカタ相続司法・行政書士事務所は、大阪・天王寺を拠点に、司法書士・行政書士が相続手続きを担当しています。
相続税申告は提携税理士、争いが生じた場合は提携弁護士と連携し、ひとつの窓口で対応します。
「何から始めればいいか分からない」「自分でやる部分と頼む部分を分けたい」という段階でも、無料相談で状況を伺い、進め方と見積もりをご提案します。
無料相談は何回でも無料で、ご依頼を無理にお勧めすることはありません。
お電話(0120-338-991/9:00〜18:00・年中無休)、無料相談予約フォーム、LINEのいずれからでもご相談いただけます。
詳しい手順はご依頼の流れをご覧ください。

相続手続きがめんどくさいときのよくあるご質問

相続手続きは自分でもできますか?

できます。
不動産がある、相続人が多い、相続税がかかりそうといった場合は、その部分だけ専門家に任せる方法もあります。

相続手続きをしないまま何年も放置するとどうなりますか?

相続放棄や相続税申告の期限を過ぎるほか、正当な理由なく相続登記を申請しないと10万円以下の過料の対象になり、10年を過ぎると特別受益・寄与分も原則として主張できなくなります。

相続放棄をすれば、手続きはすべて不要になりますか?

遺産分割や名義変更の手続きには関わらなくて済みます。
ただし家庭裁判所への申述は3か月以内に必要で、放棄の時に現に占有している遺産は保存する義務が残ります。
プラスの財産も受け取れなくなるため、手続きの手間だけを理由に選ぶのは慎重に考えてください。

戸籍集めを楽にする方法はありますか?

2024年3月から、最寄りの市区町村窓口で全国の戸籍をまとめて請求できる広域交付が使えます。
兄弟姉妹の戸籍が必要な場合など、広域交付を使えないときは郵送での請求か専門家への依頼を検討してください。

仕事が忙しく、平日に役所や銀行へ行けません。どうすればいいですか?

戸籍は郵送で請求でき、相続登記はオンラインでも申請できます。
それでも時間が取れない場合は、戸籍収集や金融機関の手続きを専門家に任せれば、署名・押印と書類の用意を中心に進められます。
当事務所では、ご相談をテレビ電話でも受け付けています。

この記事の監修者

遺産相続手続きに強いミカタ相続司法書士・行政書士事務所の代表

宮本 赳宏 - ミヤモト タケヒロ -

本記事は、ミカタ相続司法・行政書士事務所 代表司法書士 宮本赳宏(大阪司法書士会第4123号)が監修しています。
相続手続き、遺産分割、相続登記などの実務知見をもとに、初めて相続に向き合う方にも分かりやすい情報提供を心がけています。

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